江戸時代の堅田と堅田藩、大庄屋と居初氏について(中編)

居初邸と、古い蔵

「江戸時代の堅田と堅田藩、大庄屋と居初氏について(前編)」の続きです。

▼前編のあらすじ

江戸時代、近江国堅田藩には、庄屋とは別に「大庄屋(おおじょうや)」と呼ばれる人たちがいました。藩の決裁権の一部を委ねられた民間人で、米5俵(2石)の役料をもらい、苗字・帯刀を許されていました。藩と村(庄屋)をつなぐ役割を持ち、郡奉行への願書・届書などの窓口となっていたことが、最近の研究で分かってきました。

6人の大庄屋の中には、「近江国滋賀郡本堅田村 居初八郎右衛門」の名前がありました。中世の堅田を治めた地侍、「殿原衆」(とのばらしゅう)の筆頭格が居初(いそめ)氏です。ちなみに居初さんは現在も本堅田にお住まいです。

このほか前編では、元徳11年(1698)に成立した堅田藩の歴史、堅田陣屋跡、当時の本堅田の地名をご紹介しています。

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江戸時代の堅田と堅田藩、大庄屋と居初氏について(前編)

先日当ブログでご紹介した報告会、「江戸時代の堅田と堅田藩」(2016/1/31開催)に行ってきました。科研費の出ている研究なので、いずれ何らかの形で広く公開されると思いますが、差し支えのない範囲で当日の報告内容を一部ご紹介したいと思います。

その前に、堅田藩について当ブログよりご紹介します。堅田藩の当主は堀田家(佐倉藩堀田家の分家)です。時代劇によく出てくる?老中の堀田さんの一族なんですね。

堅田藩とは言っても、天守閣のある立派な城を作ることが許されたわけではありません。城の無い大名(無城大名)なので、役所があった場所は「陣屋」と呼ばれます。堅田藩陣屋があったのは、浮御堂に近い場所でした。

文政8年(1825)ごろの本堅田村の状態(堅田藩陣屋跡の案内板より)
堅田藩の初代藩主は堀田正高(まさたか)という人物で、その父は徳川綱吉に仕えた大老・堀田正俊(まさとし)でした。

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堅田内湖と地蔵と老ヶ川橋~古絵図で見る堅田(1)

堅田内湖から引かれた水路が、町を巡る風景
暑い日が続きますね。皆さま、お変わりありませんか。
何か涼しげな写真を・・・と思い、水辺の写真を選んでみました。
今回は久しぶりに、琵琶湖の畔の町・堅田(かたた)からお届けします。

1枚目の写真は、「堅田内湖」(かたた ないこ)から引かれた水路が、町を巡る風景です。内湖(ないこ)は滋賀県独特の言葉で、琵琶湖と水路で繋がった水域を指します。
有名なのは近江八幡市の西の湖(にしのこ)で、高島市の乙女ヶ池なども内湖です。

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琵琶湖のほとりの風景写真「Katata/堅田」|大阪の堺と並ぶ自由都市だった港町、堅田。殿原衆三家の一つ、居初氏の邸宅にて(後編) ~Honkatata/本堅田 485-491 #shiga #otsu #photo

ツツジの頃、天然図画亭にて1

ツツジの頃、天然図画亭にて2

ツツジの頃、天然図画亭にて3

琵琶湖と対岸の三上山(写真3枚目中央)を借景にした、江戸時代初期の枯れ山水の名庭。

居初氏庭園(いそめし ていえん)は滋賀県大津市堅田の琵琶湖畔にある日本庭園です。
堅田の豪族三家の一つである居初氏(いそめし)の邸宅に伝わる茶庭で、国指定の名勝です。

堅田の郷士・北村幽安(幽安焼の考案者。堅田小学校の近くにお墓があります)と、
その師である茶人・藤村庸軒(千利休の孫である千宗旦の高弟)により、
天和元年(1681)以前に築かれました。

園内にある茶室「天然図画亭」(てんねんずえてい)から、天然図画亭庭園とも呼ばれます。(http://ja.wikipedia.org/wiki/居初氏庭園)
Isome-shi Garden.This is a Japanese garden made before 1681.

解説

殿原衆の館

居初邸外観

先日(5月27日)に、堅田観光協会の取り組みで一般公開された際、撮影させていただきました。今年はツツジの開花時期が5月末~6月上旬となったので、ツツジと一緒に納まっています。殿原衆と居初氏、中世の堅田については、前回を御覧ください。

新緑と扉

■撮影地:居初氏庭園■見学:9:00~16:30(要予約・不定休)■料金:500円(20名以上400円)■住所:滋賀県大津市本堅田2丁目12-5■TEL: 077-572-0708

■アクセス(電車):JR湖西線 堅田駅から徒歩20分 または、
堅田駅から江若バス・堅田町内循環線5分→末広町(すえひろちょう)下車→徒歩3分
■アクセス(車):湖西道路 真野ICから10分



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堅田(滋賀県大津市)の写真 本堅田 「居初氏庭園にて」 9-15
2012.05.27撮影■撮影地:滋賀県大津市本堅田2丁目

Photograph of Honkatata-2chome,Otsu,Shiga,Japan 2012.05.27″At Isome-shi Garden”9-15


堅田の風景動画(短編集・Silent Movie)
動画・2009.5.14献撰供御人行列(Silent Movie)

琵琶湖のほとりの風景写真「Katata/堅田」|大阪の堺と並ぶ自由都市だった港町、堅田。殿原衆三家の一つ、居初氏の邸宅にて(前編) ~Honkatata/本堅田 477-484 #shiga #otsu #photo

居初氏庭園の緑の垣根

ひしゃく

白い蔵

中世の堅田は、琵琶湖の水運・漁業・造船を支配する力を持ちました。その筆頭格が居初氏です。

居初氏は、下鴨神社に湖魚を奉納する「供御人」の系譜に繋がる旧家でもあります。
献饌供御人行列の「供御人」はここから来ています。

※「献饌供御人行列」(けんせん くごにん ぎょうれつ)
葵祭の前日(5/14)、堅田から下鴨神社に”琵琶湖の鮒(ふな)”を奉納する行列。
葵祭の写真とともに、5月のバックナンバーでご紹介しています。


居初氏庭園のツツジ

歴史を遡ると、堅田は1090年(平安時代)に京都の下鴨神社御厨(みくりや)となりました。続いて堅田とその周辺地域に比叡山延暦寺の荘園(堅田荘)が成立します。

御厨(みくりや)とは、「厨(くりや)」(「台所」の意)の敬語的表現。
中世日本においては皇室や伊勢神宮など、有力な神社の荘園(神領)を意味する。
http://ja.wikipedia.org/wiki/御厨

当時、堅田には三つの党がありました(居初・刀弥・小月の殿原衆)。
堅田は下鴨神社延暦の権威を背景に、湖上関の通行税の徴収権などの湖上特権を確立していきます。
御厨となって約90年後の1182年、伊豆神社に宮座が置かれ、堅田は殿原衆を中心に惣の運営を始めます。
大阪の堺と並ぶ、中世の自由都市の始まりでした。

茶室の茅葺屋根

この間、堅田では、自由都市ならでは人の往来がありました。
一休和尚が堅田の祥瑞庵(現在の祥瑞寺)で修行(1415年)
・京都を追われた蓮如上人が堅田の本福寺に数年滞在(1465年~)
・蓮如上人を匿ったことが発端となって、比叡山延暦寺の衆徒が堅田の真宗門徒を攻撃(1468年、堅田大責

蓮如上人の件以前に、堅田は湖上関の通行税(上乗)の徴収で室町幕府に疎まれていたようです。花の御所造営に使う木材に同じように上乗を要求した事から、8代将軍足利義政は領主である延暦寺に堅田の処分を要求しました。当時の延暦寺は蓮如を「仏敵」としていたので、蓮如を匿った事が比叡山を刺激したわけです。
http://ja.wikipedia.org/wiki/堅田

堅田大責で町を焼かれた人々は、琵琶湖に浮かぶ沖島に逃げました。
2年後に比叡山延暦寺に和解金を払う事で再び堅田へ戻ってきます。
そのとき、堅田の実権が殿原衆(地侍)から全人衆(まろうどしゅう、商工業者・周辺農民)へと移っていったと言います。

1587年、豊臣秀吉が大津百艘船制度を設けた事で、約500年続いた堅田の特権時代が衰退していきます。

※5月27日に、堅田観光協会の取り組みで一般公開された際、撮影させていただいたものです。せっかくの機会ですので、地元の方に伺った事など交えて、居初氏と中世の堅田の歴史を書いてみました。
居初邸には天然図画亭(てんねずえてい)と呼ばれる日本庭園(名勝)があります。次回掲載します。


クスノキの大木

居初邸の庭園にある巨木。クスノキのようです。

琵琶湖岸から見た居初邸

↑琵琶湖岸から見た居初邸。そして、↓居初邸から見た琵琶湖と葦(ヨシ)。目の前に広がる雄大な風景です。

居初邸から見た琵琶湖とヨシ

堅田(滋賀県大津市)の写真 本堅田 「居初氏庭園にて」 1-8
2012.05.27撮影■撮影地:滋賀県大津市本堅田2丁目

Isome-shi Garden.This is a Japanese garden made before 1681.
Photograph of Honkatata-2chome,Otsu,Shiga,Japan 2012.05.27″At Isome-shi Garden”1-8


堅田の風景動画(短編集・Silent Movie)
動画・2009.5.14献撰供御人行列(Silent Movie)

琵琶湖のほとりの風景写真「Katata/堅田」|涼しげなお地蔵さん。本堅田2丁目にて。 ~Honkatata/本堅田 474-476 #shiga #otsu #photo

涼しげなお地蔵さん。本堅田2丁目にて- 1

堅田内湖〈前回)から琵琶湖の方向へ向かって歩いていくと、一本の道にぶつかります。
道の角にあったのが、このお地蔵さん。↑地蔵堂の左下にも、二体あります。↓

涼しげなお地蔵さん。本堅田2丁目にて- 2

初夏を思わせる、涼しげなお地蔵さんです。前掛けと湯のみ、季節のお花がいいですね!

一枚目の写真に写っている住宅の裏は、実はもう琵琶湖です。
次回ご紹介するのは、この通りにある旧家です。 ↓

居初邸の蔵-1

本堅田2丁目の「居初邸」です。(敷地内より、一般公開の際に撮影。)
中世の堅田は琵琶湖の水運を支配する力を持ちました。その筆頭が居初氏です。

居初邸には、天然図画亭(てんねずえてい)と呼ばれる日本庭園(名勝)があります。
普段は居初さんが個人宅としてお住まいなので、予約しないと見学はできません。
先日(5月27日)に、堅田観光協会の取り組みで一般公開された際、撮影させていただきました。


堅田(滋賀県大津市)の写真 本堅田 「涼しげなお地蔵さん。本堅田2丁目にて」 1-2
堅田(滋賀県大津市)の写真 本堅田 「居初邸の蔵」 1
2012.05.27撮影■撮影地:滋賀県大津市本堅田2丁目

Photograph of Honkatata-2chome,Otsu,Shiga,Japan 2012.05.27
“Jizo at Honkatata-2chome”1-2
Photograph of Honkatata-2chome,Otsu,Shiga,Japan 2012.05.27
“Kura (Japanese Old Warehouse) at Isome Residence”1


堅田の風景動画(短編集・Silent Movie)
動画・2009.5.14献撰供御人行列(Silent Movie)

滋賀県大津市・居初氏庭園 (後編 ) ~Honkatata/本堅田 353-354&Isome-shi Garden06n4592

茶室・天然図画亭(居初氏庭園)

まるで江戸時代にタイムスリップしたかのような、見事なかやぶき屋根と屋敷林。
これが、居初氏庭園内にある、萱葺入母屋造の茶室「天然図画亭」です。
琵琶湖岸から撮影しています。 The tea house known as Tennenzue-tei.

※居初氏庭園(いそめし ていえん)は滋賀県大津市堅田の琵琶湖畔にある日本庭園。堅田の豪族三家の一つである居初氏(いそめし)の邸宅に伝わる茶庭で、国指定の名勝です。園内にある茶室「天然図画亭」(てんねんずえてい)から、天然図画亭庭園とも呼ばれます。(http://ja.wikipedia.org/wiki/居初氏庭園)


↓逆に、庭園内部から琵琶湖を眺めると・・・

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滋賀県大津市・居初氏庭園 (前編 ) ~Honkatata/本堅田 351&Isome-shi Garden06n4592

居初氏庭園 (天然図画亭) 入り口

↑道路からは、こんな感じに見えます。

居初氏庭園(いそめし ていえん)は滋賀県大津市堅田の琵琶湖畔にある日本庭園。
堅田の豪族三家の一つである居初氏(いそめし)の邸宅に伝わる茶庭で、国指定の名勝です。園内にある茶室「天然図画亭」(てんねんずえてい)から、天然図画亭庭園とも呼ばれます。(http://ja.wikipedia.org/wiki/居初氏庭園)
Isome-shi Garden.This is a Japanese garden made before 1681.

扉の向こうには・・・↓

Isome-shi Garden06n4592

琵琶湖と対岸の三上山を借景にした、江戸時代初期の枯れ山水の名庭があります。

堅田の郷士・北村幽安(幽安焼の考案者。堅田小学校の近くにお墓があります)と、その師である茶人・藤村庸軒(千利休の孫である千宗旦の高弟)により、天和元年(1681)以前に築かれた庭園です。

居初邸の見学には事前予約が必要なこともあり、手持ちの写真がありませんでしたので、二枚目の写真は、↓こちらからシェアさせていただきました。
http://commons.wikimedia.org/wiki/File:Isome-shi_Garden06n4592.jpg?uselang=ja


写真一枚目:堅田(滋賀県大津市)の写真 本堅田 「居初氏庭園 (天然図画亭) 入り口」  2010.01.09 10:20:22

写真二枚目:Title:Isome-shi Garden06n4592 Version:2010年8月31日(火)15:31
Photo by 663highland (http://ja.wikipedia.org/wiki/user:663highland?uselang=ja)
Licences:[GFDL (http://www.gnu.org/copyleft/fdl.html),
CC-BY-SA-3.0 (www.creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/)
or CC-BY-2.5 (www.creativecommons.org/licenses/by/2.5)], via Wikimedia Commons

■撮影地:居初氏庭園■見学:9:00~16:30(要予約・不定休)■料金:500円(20名以上400円)■住所:滋賀県大津市本堅田2丁目12-5■TEL: 077-572-0708

■アクセス(電車):JR湖西線 堅田駅から徒歩20分 または、堅田駅から江若バス・堅田町内循環線5分→末広町(すえひろちょう)下車→徒歩3分
■アクセス(車):湖西道路 真野ICから10分


Photo1:Photograph of Honkatata,Otsu,Shiga,Japan Honkatata
2010.01.09 10:20:22″Isome-shi Garden (entrance)”

Photo2: http://commons.wikimedia.org/wiki/File:Isome-shi_Garden06n4592.jpg
Title:Isome-shi Garden06n4592 Version:15:31, 31 August 2010
Photo by 663highland (http://commons.wikimedia.org/wiki/User_talk:663highland)
Licences:[GFDL (http://www.gnu.org/copyleft/fdl.html),
CC-BY-SA-3.0 (www.creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/)
or CC-BY-2.5 (www.creativecommons.org/licenses/by/2.5)], via Wikimedia Commons