近江八幡の水郷と長命寺(バックナンバーより6月の美しい風景をお届けします・滋賀県近江八幡市)

水郷めぐりの和船(西の湖)-1

繖山(観音寺山)の上から撮影した安土山、西の湖、長命寺山

水郷めぐりの和船が、西の湖(にしのこ)周辺の水郷と呼ばれる葦原を行く。ここは滋賀県近江八幡市円山町。

織田信長がかつて、安土城から眺めた山並みもこんな感じだったのだろう。
写真二枚目は、安土の繖山(観音寺山)の上から撮影した水郷のまちの風景。

手前より安土山西の湖、奥島山(右奥)~長命寺山(中央奥)~八幡山(左奥)。
一番奥にぼんやり見えるのが、琵琶湖の向こうの比良山系

地元の方の話では、1942年に干拓されるまで一帯は琵琶湖に繋がっていた。

長命寺(西国三十三所第31番札所)から、繖山の桑実寺まで、舟で参拝していたというから驚きだ。

桑実寺と同じ山中には、観音正寺(第32番札所)がある。当時の参拝者にとっては西国三十三所の終盤、心躍る船旅だったのだろう。

昔の巡礼たちは、若狭から今津へ出、そこから船で竹生島(三十番)を経て、長命寺(三十一番)へ渡り、更に観音正寺(三十二番)へと水路を利用したのであろう。(白洲正子『近江山河抄』

近江八幡の水郷と西の湖(滋賀県近江八幡市円山町)

白洲正子さんの随筆『近江山河抄』の「沖つ島山」の章は次の一文で始まる。

近江の中でどこが一番美しいかと聞かれたら、私は長命寺のあたりと答えるであろう。

水郷の向こうに繖山(撮影地:近江八幡市北之庄町)

東は安土の近くまで入江がのび、葦の葉かげに、田舟が浮んで、昔ながらの水郷風景が味わえる。正面には、観音寺山がゆったりした姿を横たえ、南はさえぎるものもない内湖の風景で、その先に蒲生野が開けている。」(白洲正子『近江山河抄』

水郷めぐりの和船(西の湖)-2

西の湖周辺では、水郷めぐりの船が数か所で運行されているが、私が撮影させていただいているのは近江八幡市円山町と北之庄町で、どちらも和船だ。


近江八幡の水郷・6月の風景-2
近江八幡の水郷・6月の風景-3
近江八幡の水郷・6月の風景-4

一番奥が長命寺山。昭和になって周辺が干拓されるまで(いわゆる大中の干拓)、こんな風景が広がっていたと思われる。


長命寺山(333m)の標高約250mの山腹にあるのが、長命寺(西国三十一番札所)。

境内の一番高い所からは琵琶湖がよく見える。写真中央は三上山(近江富士)。

長命寺山から見た琵琶湖と三上山

紫陽花と長命寺

長命寺境内の奥にたくさんの紫陽花。本堂と三重塔が向こうに見えている。
約500株あるという紫陽花の見ごろは例年7月上旬まで。

長命寺の石段(合流地点付近)

619年聖徳太子開基と伝わる長命寺。

近江八幡には聖徳太子が開いたと言われる寺が多く、長命寺にも聖徳太子にまつわる伝承が残っている。

石段は808段あることで有名で、本堂までの所要時間は上り25分前後(下りは上りより速い)。今回は階段の上から下へ、下りながらの風景を掲載してみた。

長命寺参道(808段の石段途中)

長命寺の石段の途中で見た石垣

この寺のもうひとつの見所は、近江の他の場所同様「石」なのかもしれない。

石段はよく整備されており、熊野古道のような雰囲気のある場所が続く。

長命寺の石段(鳥居付近)

長命寺参道・808段の石段途中の風景-6長命寺参道・808段の石段途中の風景-4

長命寺の石段の途中では、石仏をよくみかけた。古くからの信仰が伺える。

長命寺参道・808段の石段途中の風景-1

長命寺の石段(妙覚院付近)

妙覚院という宿院の塀が美しい。


八幡堀めぐりの舟-1

近江八幡の市街地へ戻ると、時代劇のロケ地で有名な「八幡堀」がある。

八幡堀(はちまんぼり)は幅員約15メートル、全長6キロメートルに及ぶ運河で、先程の「西の湖」を経て琵琶湖につながっている。

八幡堀めぐりの舟がそばを通り過ぎていった。

八幡堀めぐりの舟-2

八幡堀とアジサイ
初夏ハナショウブ咲く八幡堀(滋賀県近江八幡市)

八幡堀とアジサイ、そしてハナショウブ。いずれも以前6月に撮影。

時代劇「鬼平犯科帳」(中村吉右衛門さん主演、フジテレビ系列で1989年7月より放映)の水辺のシーンといえば八幡掘。

「鬼平犯科帳」はエンディングの音楽と映像が素晴らしくて、ご記憶の方も多いと思いますが、あのエンディングの一部もここで撮影されている。

NHKの朝ドラ「あさが来た」(2015年放送)では、宮崎あおいさん演じるはつ(主人公の姉)が山王寺屋へ嫁ぐ印象的な場面が、八幡掘で撮影されている。

※近江八幡の水郷について

近江八幡の水郷は、国の重要文化的景観選定第1号で、ラムサール条約による保護湿地にもなっています。2015年4月に日本遺産「琵琶湖とその水辺景観-祈りと暮らしの水遺産」の構成文化財となりました。

 

今回取り上げた主なバックナンバー

沖つ島山3(近江八幡:水郷の風景、安土の山から見た西の湖、アジサイの咲く頃・長命寺)~白洲正子「近江山河抄」の舞台を歩く(28)

ちょっと涼しげな、優しいお顔立ちの仏様に出会いました。近江八幡の水郷、長命寺(808段の石段)の知られざる風景とともに。

【初夏】ハナショウブ咲く八幡堀(滋賀県近江八幡市) 

 





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