東草野の山村景観(2)~雪の奥伊吹、吉槻の風景。桂の大木と水路とイケ

雪の吉槻

その日、奥伊吹は一面の雪でした。

撮影したのは滋賀県米原市吉槻(よしつき)。伊吹山の西側に位置する山間部の集落です。セツブンソウ自生地で知られる大久保の北側に位置しています。

吉槻とその周辺地域は、2014年3月に「東草野の山村景観」として国の重要的景観に指定されました。かつて東草野と呼ばれたところで、現在の米原市甲津原(こうづはら)、曲谷(まがたに)、甲賀(こうか)、吉槻(よしつき)の総称です。

2014年3月21日、米原市教育委員会のご案内で、重要的景観指定直後の吉槻を訪ねました。今回は吉槻の「東草野の山村景観」の一部をご紹介します。

吉槻は東草野の一番南に位置する集落で、古くから交通の要所でした。吉槻では郵便局や商店に出合いましたが、かつては23もの商店や公共施設があったそうです。

吉槻は西側にある七曲峠を越えると、上草野(長浜市)、さらに北陸へ通じています。吉槻の南にある板並(米原市板並)を経由すると、国見峠から岐阜県(揖斐川町)へ。北の甲津原を経由すると、やはり岐阜県(揖斐川町)へと通じています。このあたりのことは、また機会があればご紹介します。

イケと呼ばれる水場

前回、東草野の特徴の一つが集落内をめぐる水路網だと書きましたが、吉槻もまた集落を水路がめぐり、あちこちに水場がありました。イケと呼ばれる水場です。

イケと呼ばれる水場

こちらは民家の中にある水場で、傍らにお地蔵さんが二体ありました。針江(高島市新旭町針江)の「かばた」とよく似ていますね。針江は琵琶湖に近いところですが、滋賀県で意外に水場が多いのが、実はご覧いただいている伊吹山麓です。

滋賀県は他に3箇所が国の重要文化的景観に指定されていますが、すべて琵琶湖に近い場所です。

○近江八幡の水郷
○高島市海津・西浜・知内の水辺景観
○高島市針江・霜降の水辺景観

琵琶湖の水源となっている山間部が、国の重要文化的景観として指定されたのは、滋賀県では東草野が初めてです。その点にも大きな意義があるのではないでしょうか。


吉槻のカツラ

吉槻のシンボルとなっている、桂の大木。この木も「東草野の山村景観」の重要な構成要素の一つとなっています。本当に見事な木でした。


吉槻の廃屋

吉槻の集落の入り口で、朽ち果てていく廃屋を見ました。自然の厳しい場所だからこそ、簡単に言葉にできないような、身を持って迫ってくるものがあります。


雪の伊吹山

この日は雪がすごかったので、予定どおりに回れませんでした。駅まで送っていただいたときに車中から写した伊吹山です。写っているのは吉槻の南にある板並か、大久保あたりの集落だったかと思うのですが・・・また季節を改めて撮影に伺う予定です。

 

2016年3月は、セツブンソウと長尾寺の大久保から始まり、「東草野の山村景観」として甲津原吉槻の風景をご紹介してきました。すべて米原市の伊吹山麓の地域です。

米原市はこれまでも中山道(醒井、柏原)、上丹生、伊吹山、北国脇往還(藤川、春照)、小田(伊吹山麓のソバ畑)、伊吹(伊夫岐神社)、村居田(息長陵)、池下(三島池)、朝妻湊跡(朝妻筑摩)、坂田神明宮、世継、飯、宇賀野と取り上げてきましたが、番場の蓮華寺がまだでした。

米原宿から番場、蓮華寺はやはり数年前の3月に歩いて撮影しているので、この続きでご紹介する予定です。久しぶりに『近江山河章抄の舞台を歩く』の一環として更新しようと思っています。


重要文化的景観「東草野の山村景観」(米原市ホームページ)
http://www.city.maibara.lg.jp/0000004369.html

参考:『東草野の山村景観-琵琶湖を育む水源の景観-』(米原市作成パンフレット)

Yoshitsuki(Yoshitsuki,Maibara city,Shiga prefecture,Japan).
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