Googleに著作権侵害の申し立てをするときは「名前の公開」に気をつけて!~ブログ移転裏話その1

浮御堂と中秋の名月
このブログは8月末にこちらに引っ越したばかりです。引っ越し後は、写真サイトを作るときに参考になりそうな話題を書こうと思っていました。

ところが移転直後、当ブログを丸写しして自動更新しているサイトの存在が発覚しまして…具体的には移転前の旧ブログ(2015年8月の記事)が被害に遭っていました。相手はRSSを利用して、当ブログが更新されるたびに自動的に丸写ししていたようです。

相手方サイトには私の書いた「ブログを移転します」の記事がしっかり載っていまして…しかも記事の最後に「Copyright(C)2007-2015 Jun Kanematsu/兼松純写真事務所」と書いてあるところまで同じ…うーん、なんだかなぁ…

運営者も中身を読んでいない(チェックしていない)サイトってなんなんだ??丸写しされたほうは抗議やら手続きで疲労するし…もうこんな生産性の低いことはやめようよ(と何とはなしに言ってみる)。

相手とは連絡がつかないうえ、記事タイトルで検索すると相手方サイトが出てくる始末…しかも戦争遺跡の記事なので公共性が高い…仕方が無いのでGoogleに著作権侵害の申し立て(DMCA侵害申し立て)をしました。

▼DMCA侵害申し立てのオンラインフォーム(※Google アカウントの作成が必要です)
https://www.google.com/webmasters/tools/dmca-notice?pli=1&hl=ja

▼実際の申し立てフォームはこんな感じです。
申し立てフォーム上半分

単にURLを列挙するのではなく、具体的にどこをどう転載されたのか説明する必要があります。私の場合は丸写しのケースで、かつ記事数が少なかったので、そんなに書くことはありませんでした。
申し立てフォームした半分

そんなこんなで9月のはじめにGoogleに著作権侵害の申し立てをして、受理のメール(英文)が約1週間後に届きました。英文メールがくると驚くけど、Gmailで申し立てしておけば(当然だけど)Gmailに返事が来るので、翻訳機能を使って日本語で読めます。ご参考までに、受理された場合の該当箇所を一部引用します。

In accordance with the Digital Millennium Copyright Act, we have completed processing your infringement notice. The following URLs will be removed from Google’s search results shortly:

http://(削除されたURL)
http://(削除されたURL)

再度検索してみて、初めて気がついたことがありました。著作権侵害の申し立て内容は、後から誰でも見ることができるようになっています。

申し立ての際に署名をする(名前を書く)必要があるのですが、名前もしっかり公開されています。
ただし、これは欧米式の署名なので、たとえばA野B男さんが漢字で署名した場合には「B男A野」と表示されます。それだったらあまり気にならないや、と思う方もいるでしょうし、そもそも気にならない方もいるでしょう。だけど、これってやっぱり気になる人のほうが多いと思うのですが…。

そして、もっと気になったのは、署名が著作権侵害の申し立て一覧の検索タグになってしまっていることです。つまり、A野B男さんという人が数件の著作権侵害の申し立てをしていたら、署名(B男A野)の箇所をクリックすると他に申し立てた内容が表示されるようになっています。
これって、申し立てた本人はほとんど気がついていないのではないかと思うのですが…。

対外的に何か活動している人なら、名前を出さざるを得ない場面ってホントいろいろあって、私もそれに慣れてきちゃっている面はありますが、さすがに少し怖くなりました。「気にするな」と言われても人の感じ方はさまざまで、特に今回のような場面で「気にするな」と企業が個人に強要することはできないと思うのです。

冷静になって考えてみると、DMCA(Digital Millennium Copyright Act)はアメリカの法律です。

日本での感覚とアメリカの感覚は違います。特に法律となるとどちらがいいとか悪いとかの話ではなくなってきます。相手方に反論する機会を与えるために申立人の情報を知らせるというのが主眼でしょう。これに言論の自由が絡むから、検索エンジンから除外された理由をサイトで広く公開ということになるのでしょうね。(日本人としてはわざわざサイトで公開までする必要はないと思うのですが・・・)

これはGoogleだけでなく、アメリカ法人を母体とするYouTube、Twitterに著作権侵害の申し立てをするときも同じ問題に直面します。今後DMCAで著作権侵害の申し立てをされる方は、個人情報の公開に留意していただきたいと思います。

現実的に個人はどう対応すればいいか考えてみました。

個人なら英語で署名するのも手だと思います。名前・苗字の順にローマ字表記されるので、少しはましかもしれません。たとえばJunという名前でも、純さん、順さん、淳さんなのかローマ字表記では分かりません。プライバシーを考慮するなら、むしろ個人名より、会社名や団体名(プロジェクト名)のほうがいいかも。

そんなことを考えていたら、「無断転載にDMCA侵害申し立て!」というサイトで、「DMCA文書の作り方」が例示されていました。英文での申し立てということもあり、こちらでは名前は「アルファベット表記もしくは英語名」での表記となっています。http://39dmca.blogspot.jp/2014/10/dmca.html

そもそも不当な申し立てを防ぐための署名でもあるのだから、ペンネームで活動している人はペンネームで書くのもありだと思います。社会的にその名前で活動していて、その名前で書いたもの(作ったもの)が侵害されているなら、ペンネームを出したほうが理にかなっています。上記「DMCA文書の作り方」では、ハンドルネームと本名の併記が提唱されていました。もっとも、ペンネームがGoogleのいう「虚偽記載」(削除フォームの冒頭に明記されている)にあたるかどうかの判断は微妙ですね。

重要: 著作物または行為が権利を侵害しているかどうかに関する通知に虚偽記載があった場合は、申立人に損害賠償責任が課せられることがあります(費用および弁護士料を含みます)。判例では、申立人には通知提出前に著作権の抗弁、制限、例外について検討することが義務付けられています。オンライン コンテンツに関するある訴訟では、対象のコンテンツがアメリカ合衆国の公正使用の原則によって保護されていたために、申し立てを行った会社は裁判費用および弁護士料として 100,000 ドルを超える金額を支払いました。したがって、オンラインで公開されている著作物が自分の著作権を侵害しているかどうかについて確信が持てない場合は、まず弁護士に相談することをおすすめします。
著作権侵害による削除フォーム

ちなみに日本の著作権法では、「著作物の公衆への提供若しくは提示の際」にペンネーム(「変名」)を表示することにより、著作者と推定すると規定されています(著作権法14条)。もしかしてDMCAにも同様の推定規定があるのかと思い調べてみましたが、現時点では分かりませんでした。

著作権法第十四条  著作物の原作品に、又は著作物の公衆への提供若しくは提示の際に、その氏名若しくは名称(以下「実名」という。)又はその雅号、筆名、略称その他実名に代えて用いられるもの(以下「変名」という。)として周知のものが著作者名として通常の方法により表示されている者は、その著作物の著作者と推定する。
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S45/S45HO048.html

著作権侵害に限らず、抗議をするか、ぐっとこらえて黙っている(あるいは捨て置く)か、ホントその判断は難しいです。

見えない形で今回のような問題が絡んできたりするのでホント厄介です。名前を出して活動するって、そういうことの連続だったりします。私は作品を守りたいから名前を出してやっているけれど、もっと穏やかにやれたらいいよね、と思うときもあります。

今後実務で問題になるのは、従来のような内容証明の書き方というよりも、ネット上の著作権侵害への対処法や、日本にいてアメリカ法人と関わる場合にDMCA(Digital Millennium Copyright Act)とどうつきあっていくかということのほうが大きくなっていくのではないかと思っています。

写真に携わることは、カメラや機材のことだけでなく、実は著作権との付き合い方であったり、パソコン(RAW現像やソフトの使い方)によるところが大きいので、今後はクリエーターや個人ユーザーの皆さんの参考になるような記事を、自分のできる範囲で発信していけたらと思っています。

▼Googleへ著作権侵害の申し立て方法は、海外SEO情報ブログさんの記事に詳しいです。
無断コピーされたコンテンツをGoogleのインデックスから削除する方法 〜 DMCA侵害申し立てフォームから送信可能

上記記事の最後に、こんな記述があります。

また、申請時の個人情報がChilling Effectsに掲載されることがあります。
申請の撤回はすんなりいかないことがあるので十分にご注意ください。

「申請の撤回はすんなりいかない」に何気なしに張られたリンクが、まさに今回の話題と同じなんですよね。気になる方は読んでみてください。


2016/6/27追記:実際にどのように記録が残るか、ご参考になればと公開します。

「純_兼松」でリンクが作られている点にご注目下さい。そのほかの個人情報は出ていません。これをどう判断されるか、ご自身の判断材料になさって下さい。
https://www.lumendatabase.org/notices/11151246

もうひとつは昨日ツイッター事務局へ著作権侵害の申し立てを行い受理されたもので、こちらは「兼松純写真事務所」と記載されています。
ツイッターの場合は会社名(所属名)を記載すると、著作権者の氏名や申立人(弁護士等)の氏名ではなく、申立人の会社名(所属名)が表示されることが分かりました。
https://www.lumendatabase.org/notices/12529726